福祉・介護職員の処遇改善加算について
(背景)
介護が必要な65歳以上の高齢者は人口の3分の1を占めていて、これからも増加する見込みで、そのため介護職が少なくなると国にとっても大きな損害になります。そこで福祉・介護職員の処遇改善は「介護職員が働きやすくしよう」と国が考えた制度で「介護職の給料を上げよう」と平成21年度に介護職員処遇改善の制度が生まれました。
(目的)
福祉・介護職員の賃金を改善し、雇用の安定化を図ることを目的にしていますが、その背景には、福祉・介護職員が他の業種に比べ賃金が低いこと、離職率が高いことなどから世間のイメージがあまり良くないことがありました。ただ福祉・介護職員以外の相談支援専門員や給食職員などには該当されません。
(経過)
処遇改善手当は、平成21年度「介護職員処遇改善交付金」として始まり介護職員のためにキャリアパスや職場改善を行った事業所に対し介護職員一人あたり月額1万5千円相当の給与上乗せ費用を支給していましたが、平成24年度から「介護職員処遇改善加算」に制度名が変更され、これまでの交付金から介護報酬に給与上乗せ費用を賄うことになりました。平成27年度には加算区分が見直しされ、支給も月額1万2千円から2万7千円相当と大幅に増額、また平成29年度からはより加算率の高い区分が追加(月額1万円アップ)され、加算区分もこれまでの4段階からⅠ~Ⅴになり最大3万7千円相当の引上げがされています。
(届出)
処遇改善手当を取得するには、事業所が指定基準を満たし、福祉・介護職員の処遇改善のための取組みを行っている事業所であり、その届け出で承認されていることが必要です。
(取組み条件)
(1) キャリアパス要件1…仕事に見合った役職や賃金体系を整備する
(2) キャリアパス要件2…スキルアップ研修を計画して実行、研修機会の確保
(3) キャリアパス要件3…経験や資格に応じて昇給する仕組みや昇給を判定する仕組みを作る
(4) 職場環境要件…賃金以外の処遇改善を行うことの4つの要件があります。
加算1であればこれら4つの項目を満たすことが条件になります。
加算2は(1)(2)(4)を満たすことが条件で、加算3は(1)又は(2)、加えて(4)を満たすことが条件になります。
加算4は(1)(2)(4)のいずれかを満たすことが条件です。
加算5は4つの項目のうちのどれも満たさなくても良いとなっています
(金額)
平成30年度時点での処遇改善手当の一人当たり金額は、加算1は「月額3万7千円相当」、加算2は「月額2万7千円相当」、加算3は「月額1万5千円相当」、加算4は「加算3×0.9」、加算5は「加算3×0.8」となっています。
しかし、これらの金額は各種手当やボーナスを含んだ金額であり、実際は事業所や職員によっても金額に違いがあるため一概にこの金額にはなりません。
(その他)
平成30年4月の審査時点では、処遇改善加算を請求した事業所は、全体の90.7%、そのうち加算(Ⅰ)を請求した事業所は全体の67.9%に達しました。今後は加算率の低い(Ⅳ)(Ⅴ)
の算定要件は廃止される予定です。
介護職員等の特定処遇改善加算について
(基本的な考え)
令和元年度の障害福祉サービス等報酬改定において、職員の確保・定着につなげていくため、現行加算に加え、経験・技能のある介護職員の更なる処遇改善を目的に、特定加算を支給する制度で、リーダー級の職員の処遇改善になります。
具体的には「勤続年数10年以上の介護福祉士に対し、月額平均8万円アップか年額440万円以上を1人以上の処遇改善を行う」という方針に基づき、「新加算Ⅰ」「新加算Ⅱ」としてこれまでの処遇改善に上乗せされ支給されます。
(取得要件)
・処遇改善加算の加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを算定している。
・処遇改善の内容を全て職員に周知していることともに職場環境等要件の中で「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」の区分について、1つ以 上取組んでいる。
・処遇改善の取組みについてHP等で「見える化」を行っている。
(特定加算(1)の取得要件)
サービス提供体制強化加算、特定事業所加算、日常生活継続支援加算、入居継続支援加算のいずれかを取得している。ただしサービス提供体制強化加算は最も高い区分、特定事業所加算は従事者要件のある区分に限られる。※上記の加算を1つも取得していない場合は、特定加算(Ⅱ)となる。
(配分対象グループ)
a 経験・技能のある障害福祉人材
具体的には介護福祉士、サービス管理責任者等の資格を持ち勤続年数が10年以上の者
b 他の障害福祉人材 上記経験・技能に該当しないいわゆる10年未満の介護・福祉職員
c その他の職種
障害福祉人材以外の事務や給食等の職員
(特定処遇改善加算の配分ルール)
・「経験・技能のある障害福祉人材」のうち1人以上は、月額8万円以上又は年額の見込額が440万円以上であること。
・「経験・技能のある障害福祉人材」の賃金改善見込額の平均が「他の障害福祉人材」の2倍以上であること。
・「他の障害福祉人材の職員」賃金改善に要する見込額の平均が「その他の職種の職員」の2倍以上であること。
・「その他の職種」の賃金改善額が年額440万円を上回らないこと。
(加算率)
加算算定対象サービスのサービス区分の就労継続支援B型における特定加算(Ⅰ)にあっては2.0%の加算率になる。
※ なお「経験・技能のある職員」は、勤続10年以上の介護福祉士が基本になりますが、「勤続10年以上」の判断には事業所の裁量が認められています。 他法人
などで勤務期間を年数に加えることや、「勤続10年以上」でない人を独自の能力評価に基づいて加算の対象にすることも認められています。
また、小規模事業所や開設して日の浅い事業所では、8万円等の賃金改善に当たり「事業所内の階層・役職、能力・処遇の明確化」のために規程整備や 研修・実務経験の蓄積など一定の期間が必要となるため例外が認められる代わり「合理的な説明」が求められる。
福祉・介護職員等処遇改善(特定)加算の当法人の取組みについて
厚生労働省では、障害福祉サービス等報酬を改定し、障害福祉の現場で働く福祉・介護職員の賃金を向上させることを目的に平成21年度「福祉・介護職員処遇改善」を創設しました。
当法人は、平成28年4月から加算Ⅲ(一人当たり月額13,500円相当)に対し月額14,500円相当を8、12、3月に分けた一時金として支給しスタートしました。
平成29年4月からは、キャリアパス要件の職位、職責、職務内容に応じた任用と賃金体系の整備や資質向上を図るための研修計画による受講機会の設置、そして職場環境等要件面では、労働時間や休暇見直し改善に努めるなどして、手厚い評価拡充し新設された加算Ⅰ(一人当たり27,000円相当+月額10,000円相当を上乗せ)を取得しています。
具体的には、前年に引続き加算Ⅰを取得し月額10,000円の昇給をするとともに基本給はじめ役職手当、賞与の改善のほか月額17,500円を8、12、3月に分けて年3回の一時金で支給している。
平成30年4月からは、前年に引続き加算Ⅰを取得し月額5千円を昇給したほか、前年同様に月額17,500円を8、12、3月に分けて年3回の一時金で支給している。
平成31年4月からは、前年に引続き加算Ⅰを取得し月額3千円を昇給したほか、前年同様に月額17,500円を8、12、3月に分けて年3回の一時金で支給している。
令和元年10月からは、日常生活継続支援加算を算定しており、特定処遇改善加算(Ⅰ)を取得して12月賞与に0.5~1.0カ月分程度を加えて支給している。
令和2年4月からは1,000円の昇給。一時金については一人当たり月額12,000円とし、年3回(7.11.3月)に支給する。対象職員は9.1人で、一人当たり173,142円/年の改善を実施した。
令和3年4月からは、1,000円の昇給。一時金については一人当たり月額17,500円とし、年3回(7.11.3月)に支給する。対象職員は9.1人で、一人当たり173,142円改善を実施した。
令和4年4月からは、1,000円の昇給。一時金については一人当たり月額17,500円とし、年3回(7.11.3月)に支給する。対象職員は8人で一人当たり241,776/年の改善額を実施した。(※ 臨時特例給付金 令和4年10月からベースアップ加算として月額9,000円を加算。)
令和5年4月からは、1,000円の昇給。一時金を一人当たり17,500円から7,500円に改め減額の1万円を本俸に振り替える。このことにより一時金は月額7,500円とし年3回(7.11.3月)に支給する。職員手当では、扶養手当で1,000円増額して扶養一人5,000円に、資格手当にサービス管理責任者と相談支援専門員にオンコール手当として月額3,000円を支給する。※福祉介護職員処遇改善臨時特例交付金。令和6年2月〜3月。正職員一律12,000円。非常勤4,500〜6,000円。
令和6年、職員の給料を月額11,000円の増額する。具体的には本年4月から1,000円の昇給のほか、これまでの処遇改善加算一時金、一人当たり7,500円から4,000円を本俸に振替え、減額の一時金は3,500円とし7.11.3月に支給するなどで、11,000円の増額とする。その他、職員手当は主任手当2名を昇給させたほか、住居手当4名に6,000~27,000円と現金取り扱い手当1名
2,000円を新設した。
◇令和5年度障害福祉サービス等処遇改善計画書(クリックしてPDFでご覧ください)
◇令和4年度障害福祉サービス等処遇改善実績報告書(クリックしてPDFでご覧ください)